400円以下の通信モジュールを使って SORACOM SIM でインターネットに繋ぐ(ただし日本では使えません)

Susumu Takahashi
qftech
Published in
6 min readJun 30, 2017

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ということで GSM の電波を吹いている国、中国に来たので、SORACOM Air for セルラーのグローバル向け Air SIM と GSM のモジュールを使ってみようと思います。

深圳に Ai-Thinker(安信可科技有限公司)という会社があります。
日本ではあまり有名では無いですが「ESP8266 (ESP-WROOM-02) を SORACOM SIM と通信モジュール UC20-G を使って3G でインターネットに繋ぐ」で登場した、ド定番チップの ESP8266 がここまで有名になるきっかけとなったサードパーティーモジュールの製造元です。
(日本では Espressif Systems が製造した ESP-WROOM-02 がいわゆる技適を取得している一方、Ai-Thinker 製モジュールは技適を取得していないため知名度はあまり無いと思われますが、とにかく安い ESP8266 モジュールを作ることで有名です。)

実は Maker Faire Shenzhen 2016 に出展しており、そこでこの会社のこのモジュールのシリーズ(A6/A6C/A7/A20)を知りました。
今回使う A6 というモジュールは、GSM(GPRS)のみの対応ながらキッチリ Quad-band 対応し、なにしろアンテナ付きの開発ボードの形態で400円を切るという驚異のコストパフォーマンスです。FCC と CE の認証も取れてます。(もちろん中国の CCC も)

ということで「ESP8266 (ESP-WROOM-02) を SORACOM SIM と通信モジュール UC20-G を使って3G でインターネットに繋ぐ」を流用して、Quectel の 3G モジュール UC20-G の代わりにこの Ai-Thinker の A6 開発ボードを使うことにしましょう。

技術情報はメーカーの Wiki にあります。ピンアサインとか AT コマンドのリスト(PDF)の掲載もされています。(ページは中国語で書いてありますが、ファイルの中身はほぼ英語なので大丈夫でしょう。)
気になるようなら英語で情報がまとまっているページもあります。若干 AT コマンドリスト(PDF)なんかはバージョンが古いようですが。

配線としては、それぞれ開発ボードの
1. UART_TXD を ESPr One の RX に
2. UART_RXD を ESPr One の TX に
3. GND を ESPr One の GND に
4. VCC5.0 を PWR_KEY に (電源投入後に抜線可能です)
接続するという形になります。

接続後、試しに

AT # 正常に接続されていれば OK が返ります
ATI # メーカ名・製品名・ファームウェアバージョンが返ります
AT+CIMI # IMEI(端末の製造番号)が返ります
AT+COPS=? # 見えているキャリアが返ります
AT+CSQ # 電波状況が返ります

あたりのコマンドを入れてみると、状況が分かります。
接続としては、

AT+CGATT=1
AT+CGDCONT=1, “IP”, “soracom.io”, ,0,0
AT+CGACT=1,1 #PDP を接続
AT+CGPADDR=1
+CGPADDR: 1,”10.215.180.103" # 端末に割り当てられた IP アドレスが返ります
AT+CGREG?
+CGREG: 0,5,”c75",”6b77",1 # 接続した基地局情報が返ります

として接続できます。その後、

AT+CIPSTATUS
at+cipstart=”TCP”,”100.127.127.100",23080 #SORACOM Beam のエントリポイントに TCP で接続
AT+CIPSTATUS
at+cipsend=8,deadbeaf #8バイトのデータ(ここでは「deadbeaf」)を送信
AT+CIPCLOSE #TCP/UDP の接続を終了
AT+CIPSTATUS
AT+CIPSHUT
AT+CIPSTATUS

といった流れで、Beam のエントリポイントに対し、TCP でデータを投げ込んで切断、といったことができます。

IFTTT に投げ込んでいますが、手抜きで UC20-G 用をそのまま使ったので、戻り値のメッセージが UC20EVB” になっているのはご愛敬です。

非常にお手軽ですね。
今回、ESPr One は単純に USB-serial 変換としてしか使っていませんが、こちらにセンサー類を接続して、色々な処理ができると思います。

日本や韓国では GSM は利用できず、台湾もついに本日停波になりますが、まだまだ GSM が現役の国・キャリアは多いです。そういった地域では、安価に既存のデバイスをセルラー回線を使ってインターネット・自社ネットワークへの閉域接続ができますね。

・まとめ(お値段。税別・送料別。ケーブルとか小物除き。)
ESPr® One: 2,980円
Ai-Thinker A6 開発ボード: 398円(アンテナ付属。1元=16.5円換算)
合計: 3,378円くらい

ちゃんと基地局ベースの位置情報も表示されました

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